見えてくる順番を設計する。


 名刺のデザインは、新人デザイナーの習熟具合を見るのにうってつけの題材です。小さなカードに情報をどう配置するか。つまり、伝える情報を把握して、優先順に並べるということができるかどうか、一目でわかるのです。


 優先度の順で並べる、といっても、上から下へ(または右から左へ)杓子定規に配置する他に、様々なバリエーションが可能です。「会社名」より前に、「名前」をずっと大きい文字で置けば、名前の優先順位が高く表現されて、その人は会社名よりも個人の名前で勝負をしている、というニュアンスが出て来ます。そうしたニュアンスまで含めた様々な見え方を設計して、その人の総体を表現しようとする作業ですから、なかなか侮れない題材なのです。


 これが例えば雑誌のデザインであれば、雑誌のテイストによっては、読者の目線を動かすことで誌面に躍動感を作り出す目的で、タイトルをページの初めではなく、(縦組の本であったら右下などの)わざと中途半端な位置におくことがあります。定石通りの順序をずらして、画面に少し気取った雰囲気を感じさせることができるのです。しかし、そうした際にも、タイトルがまず一番に目を引くように、ページの中で一番大きいサイズで配置したり、それなりの空きの中に配置するなどの配慮が必要です。こうした配慮が、情報の優先順位の設計と言えるのではないかと思います。


 こうして、色や形、そして画面の中でのそれぞれの要素の位置関係を調節して、優先順位に従って情報が伝わるようにすることが、デザインがコミュニケーションとして成り立つための最初のステップといえます。


Question :
あなたの名刺で、最初に見えてくるものは何ですか?

文字のリズムを意識してみる。


 横丁の八っつあんとご隠居の会話ですが、八っつあんとご隠居で、文字の調子が違って見えますよね。八っつあんの話は息切れするような慌てた調子で、畳み込まれるように読まされる感じがするのに対し、ご隠居が慇懃に対応するような印象まで伝わりますでしょうか。これは八っつあんのせっかちな印象を文字を詰めることで、そして、それにゆっくり対応するご隠居の様子を文字の間を開いて見せることで、試しに表現したものです。


 また、こうしたリズムは詰めだけではなく、文字のサイズの差でも表現できます。見出しと本文のサイズの差が大きいと、見出しに注目が集まり、誌面に活気や勢いを演出できます。一方、このサイズ差が小さいと、文字組みには静かで丁寧な印象が生まれます。


 例えば冒頭の八っつあんの台詞なら、ご隠居の台詞より文字サイズを大きめに設定し、また、八っつあんの台詞自体のなかでも「てえへんだ」という部分を見出し的に大きくしたりすると、駆け込んできたような勢いをより強く表現できそうですね。また、そうした工夫が,加工の無いご隠居の文章の静かさをより際立たせるでしょう。


 何気なく流れている文章にも、文字の空きや詰め、そして大きさを調節することによって、表現したい内容にあった固有のリズム作って、個性を出すことができるのです。


Question :
もしもあなたの伝記が出るなら、文字はどんなリズムになるでしょう?

欧文印刷さんのニス印刷セミナーに行って来ました。


5月28日(金)に行われた、欧文印刷さんによるニス印刷セミナーに行って来ました。
(デザ現のブログにて告知を知りました。デザ現ブログさんありがとうございます。)


私は今まで雑誌のお仕事が多かったため、ニス引きというとほとんどのケースが雑誌の表1/表4に使うというものという印象です。


また、使用する際は、ほぼ版元さんのほうでイメージが決まっていて、デザイン側としてそれを後追いで承認するという消極的な関わり方が多かったような。この辺はコストの関係もあったり、あとニスやPP(PP張りというのは紙にビニールを張る加工です。角背のファッション誌などはPP張り加工の本が多いと思います。)などそれぞれの特徴を私がしっかり把握していなかったりすることもあって、あまり口を出すのもな…という気弱な部分がありました。そういうこともあり、ぜひニスに関する知識を深めたいと思って今回参加させて頂きました。


以下当日知ることのできた知識をいくつか。


・光沢といえば昔はPP張りだったが、現在UVニスであればPP張りに匹敵する光沢を出せる(実際に輝度を計る機械で目の前で計っていただきました)。


ちなみにニスとPPではコスト的には、ロットが大きくなればなるほどニスの方が格安とのこと。これは、PP張りは工程的に専門の工場でやることが多く、運搬コストが掛かるから、と。ニスなら印刷の際に一緒に掛けれる。


・パールニスというものがある。掛けると全体がパール系(虹色がかった)の光沢に。また、印刷前にパールニスを掛けてパール紙に印刷したような効果を出すこともできる。


・ニスであればPPではできないスポット的な掛け方ができる。スクリーン版的な使い方がイメージしやすいけれど、PS版を使って150線くらいまでの表現もできるとのこと。


・パッケージなどに使われるニスにはそれぞれに「滑り角」というものが設定されている。滑り角とは何°まで傾けると滑り出すかという角度。製品ごとに異なって調整されているとのこと、へーへーへー!


・「ウルシ印刷」という技術。下の写真でツルツルのところとそうじゃない部分がわかりますでしょうか? 

ツルツルのところはUVニス、そうじゃないところはUVニスの前にOPニスというのを掛けておくとUVニスが盛り上がってザラザラのテクスチャになるのだそうです。


などなど基本から専門的なことまでお話を聞くことができました。欧文印刷さんありがとうございます!


最近はデザインのひきだし(編集の方がいらしてました!)といういい本などもあり、さまざまな印刷技術を手軽に知ることができる環境が出来てきてありがたい時代ですが、やはり現場でわからないことが直接聞けるというのは面白いです。よいセミナーをありがとうございました。


ニスセミナーは7月にもあるようですが、HPを見ると定員まで行っているとのことでもう閉め切られています。
欧文印刷株式会社
http://www.obun.co.jp/


追記
当日のセミナーではこちらの本が紹介されていました。この本にもニスについて様々な記述があるとのことでした。私はまだ未読なので、チェックしてみたいと思います。

「本」に恋して

「本」に恋して

最近のお仕事 SOFTDARTS BIBLE vol.22

すっかり更新をせぬまま3ヶ月も経ってしまいました。書きかけの記事もあったりしたので、そんなにも過ぎてしまったとは感じていなかったのですが。はてなダイアリーの仕組みもリニューアルされてる…。


というわけで最近させていただいたお仕事です。SOFTDARTS BIBLE vol.22の一部のデザインをさせて頂きました。三栄書房関口さん、マッコイワークス恵良さん、素敵な機会を頂きありがとうございます。
[rakuten:hive:10009571:detail]


スローイング徹底ガイド」という特集です。「4スタンス理論」という、足の重心を、足の前後左右のどの位置でとっているかということから人の運動スタイルを4種類に分けて分析する理論があるのですが、その理論を元に自分にあったスローイングのスタイルを探すことができるというものになっています。


私自身は実はダーツはやったことが無いんです。自分のスタイルをチェックしてダーツバーにいざ! と行きたいところですが、どなたか一緒にいかがですか???

田中一光ポスター1953−1979


先週の金曜日になりますが、gggで行われている田中一光さんのポスター展に行ってきました。


今回の展示は53年から79年までの作品群ということだったのですが、行ってみて眺めた感想としては、古さを感じない作品ばかりで、やっぱりすごいなあと。


もしもフォントが現在のものに置き換わったら、今年の作品といわれても疑う余地がないような。う〜ん、この人はもうこれからもずっと私のアイドルだな。



この2つの写真は私のスクラップブックから。これらのオリジナルも見れますよ!


地下の会場では一光さんが出演された様々なTV番組のダイジェストが流れていて、NHKの「男の料理」(タイトルはうろおぼえで、違うかもしれません)という番組のものも流れていました。


秋田寛さんが何かの文章で、「一光さんのデザイン室では昼ご飯は一光さんがちゃちゃっと作ってくれる」と書いていたのを思い出しました。本当だったんだなー。


東京の展示は既に明日までになってしまっているので、見逃している方はぜひ!


田中一光ポスター1953-1979
http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/

12月のデザイン系つぶやきのまとめ

もう1月も20日ですが、12月のデザイン系つぶやきのまとめです。年末年始は仕事でばたばたしてたのですこし少なめですが、ドゾー!


本屋に行ったら「オールカラー ギターコードブック」というものが売っていて驚愕した 1:14 AM Dec 1st, 2009 from TweetDeck

オールカラー ギター・コードブック

オールカラー ギター・コードブック






この本かっこ良かった。太宰の本。当時の装丁そのままなのかな? http://bit.ly/760XKg 1:18 AM Dec 1st, 2009 from TweetDeck

パンドラの匣―河北新報社版

パンドラの匣―河北新報社版







不思議ー! Optical Illusion http://bit.ly/4DlSyY 1:32 AM Dec 2nd, 2009 from web






これはかわいいアイデア。最近は吹き出し型の付箋があるから、それを使ってやってみよーっと!  家の中にある物がしゃべりだす セリフ型ウォールステッカー「モノローグ」 http://bit.ly/7bAv4q 6:12 AM Dec 2nd, 2009 from web







んなわけねーwww!!! http://bit.ly/78TSVU 6:17 AM Dec 2nd, 2009 from TweetDeck







このブログもとてもすばらしいエントリばかり。 (title unknown) http://bit.ly/6WhxIg 7:11 PM Dec 2nd, 2009 from web






Tim Burton MoMA Spot http://bit.ly/8AbeIf 1:45 AM Dec 3rd, 2009 from web http://www.moma.org/explore/multimedia/videos/81/471







石川九楊さんの源氏物語、これヤバすぎだよね、凄すぎる http://yfrog.com/3n4lfyj 6:06 AM Dec 4th, 2009 from Twitterrific







噂のMacbook touchのイメージそのもの RT @kmusiclife: Photo: 『CrunchPad』が変身したタブレット『JooJoo』、実機レポート | WIRED VISION テレビ消えるねー。 http://bit.ly/5fIiUQ 1:42 AM Dec 9th, 2009 from TweetDeck






ペンギンブックスのトートバック、かわいい。   Blair’s Holiday Gift Guide and Wishlist http://bit.ly/5yfK6p 3:53 AM Dec 10th, 2009 from web






モディリアーニ展のカタログの文字が全部長体がかかってるのは、なかなかしゃれが効いていて好い http://yfrog.com/auc1cxj 1:42 AM Dec 12th, 2009 from Twitterrific






小林章さんのブログ 「それは私には空きすぎに見えます。」という文もあり、結局は作り手の感覚と判断なのね 「数字のあとにスペースを入れるか?」 http://bit.ly/7zWwMI






複数の映画が混ざっているポスター。オモロイ。 http://bit.ly/LtTwA 7:38 AM Dec 19th, 2009 from TweetDeck






東急ジルべスターコンサートのポスターがかっこいい http://yfrog.com/4g4skj 2:19 PM Dec 20th, 2009 from Twitterrific






J-waveで深夜、女の子の歌手がHelveticaがどうこうとか言ってたこと、あとスタジオぺんたに張ってあったスタジオアパートメントというバンドのポスターがスイスデザイン風だったことがすごく印象に残ってて、モダンデザインがいくとこまで行ったと感じた。 1:34 AM Dec 25th, 2009 from TweetDeck







このブログは良すぎる。抽象絵画?  Hartmut B〓hm, Bartha Contemporary, London, England, December 4 - January 17, 2009 http://bit.ly/4KE0mX 2:03 AM Dec 28th, 2009 from web






おもろい。曲と動きがシンクロするものには逆らい難い楽しさがある。 TypeStar http://bit.ly/5F3lJ1 11:48 AM Dec 28th, 2009 from web